DEMEL ウイーン
2015年 02月 08日
デメル
「デメルを訪れずしてウィーンを語るなかれ」とまで言われている、ウィーン・デメルは、有名な老舗の洋菓子店である。日本にも進出を果たし、ウイーンを訪問したことのない人の間でも知名度の高いお店だと思う。
だからというか、ザッハーと本家争いをしているザッハートルテの食べ比べももくろんで、デメルを訪問してみた。
ハプスブルグの歴史と比べると、デメルの歴史はそんなに長くはない。1786年創業ということなので、フランス革命の3年前。すでに、マリアテレジアからその息子ヨーゼフ2世に王座を引き継いだ後の話といえる。
しかし、もともと砂糖菓子という王宮御用達のデザートを作り始めたデメルは、ハプスブルク家の紋章を使っているのを見るとわかるように、王宮との関係は非常に強かったらしい。
王族貴族のための菓子を作る「ツッカーベッカー」(菓子職人)。その一人ルートヴィッヒが創業したのがこのデメルだ。ただし、創業当時は、直々に宮廷御用達というわけではなく、実際に王宮御用菓子司になったのは、創業者ルートヴィッヒの没後の1799年だったという。それ以来、王宮御用達として、その名を馳せたというわけだ。
デメルの名前は当初からついていたわけではなく、創業者の息子が店の職人長 クリストフ・デメルにその経営権を譲り、さらにデメルの息子たちが店を継ついだ際に、「クリストフ・デメルの息子たち」としたのがデメルの名前の始まりだったという。
デメルの名を一躍高めたのが、現在でも変わらぬ姿で売られている「アンナ・トルテ」。フランツ・ヨーゼフ一世がこよなく愛した菓子なのだそうだ。アンナとは、デメル3代目の女主人の名前。
さらに、フランツ・ヨーゼフ一世の妻で、美貌が今日でも伝説的に語り継がれる王妃エリーザベートが、デメルのイチゴジャムを珍重したことも有名な逸話なのだとか。
デメルは、王宮劇場の舞台側入り口の前に創業したが、1888年に現在の地に移転している。
デメルで有名なのは、やはりトルテ。ここでは、ザッハートルテとアンナトルテが有名。
ザッハートルテは、いまだにザッハーと本家はどちらかと争われるのだが、経営難に陥ったホテルザッハーを資金援助したデメルが、その代償に権利を譲り受けたという。その後いろいろごたごたがあり、裁判沙汰にまでなったらしいが、オリジナルレシピはザッハーだが、デメルのトルテも権利的には正統派といえば正統派なのだろう。
ザッハーのものはアンズのジャムを内部にも挟むのに対し、デメルのザッハトルテは表面にのみ塗る違いがあるとか。
そのほかにも、各種チョコレートや菫の砂糖漬けなど、様々な洋菓子が用意されており、これらのいくつかは勿論日本に進出したデメルでも買うことができる。
店ではお菓子工房の見学の見学もできるし、カフェも併設されている。しかし、観光シーズンでなくとも、土日の午後には行列ができる人気店。ここでお菓子を食べながらまったりくつろぎたいのなら、午前中に行くことがおすすめである。
店内は、販売スペースがそれほど広くないので、結構な混み合い方だ。ともあれ、一度訪問してみると、ウイーンの洋菓子店の雰囲気がよくわかるのではないか。
デメル
住所:Kohlmarkt 14, Vienna 1010, Austria
電話:(0) 1 535-1717サイト
営業:9:00 - 19:00
定休:基本無休
サイト:http://www.demel.at/
by darjeeling_days
| 2015-02-08 22:45
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