なぜ日本神話は矛盾を孕むのか?

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随分前から日本神話は
何故矛盾をはらんでいるのか
ずっと気になっていた。

そのうち神社巡りをするようになると
日本皇室の祖は、天照大神なのに
それを祀る神社よりも
圧倒的に出雲系の神社が多いことを
不思議に思った。

そして倭のど真ん中に
三輪山をご神体にした
大神神社があってその主祭神は
大国主とみなされる大物主が祀られているのに、
倭に一番近い天照大神は大和から遠く離れた
伊勢に祀られているのは何故だろうとと思った。

なによりも、ニニギや神武天皇の神社の少なさ、
そして国譲りをしたのになぜニニギは出雲に天下らなかったのか?

日本一の社が何故出雲に作られたのか?

そんな疑問があれこれと頭をよぎった。

小椋一葉氏の『消された覇王―伝承が語るスサノオとニギハヤヒ
を読んだことで、
目から鱗が落ちた思いだった。
なるほどね、全部は信じられないけど、
とても説得力のある説で
スサノオ愛に火が灯った。

なるほどいろんな神様を無理矢理
素戔嗚と饒速日にしなくても
いいのではないかとは思うが、
大物主を饒速日と見做し
大国主をスサノオの娘婿、
そして饒速日をスサノオの息子
「大歳」とすれば、
記紀とは大きく違った
風景がそこには見えてくる。

これを契機にスサノオ、ニギハヤヒ親子について
他にも似た説を説いている人が
いるのではないかと
あれこれ探したのが
上の写真の本たちであった。

『葬られた王朝』梅原猛
『消された大王饒速日』神一行
『出雲と大和』村井康彦
『ヤマト王権』吉村武彦
『古代出雲と神々の伝承』木村博昭
『神社が語る古代12氏族の正体』関裕二
『地形と地理で解る古代史の謎』千田稔
そして
『古代日本正史―記紀以前の資料による』原田常治
も貴重な資料だ。

これらの本の多くが、
『記紀』は、それを編纂主導した
藤原氏の祖先中臣鎌足によって
それ以前の歴史が改竄されたのだと証言している。

記紀が描いた古代史は
古代にあった出雲帝国が倭の祖だったことを抹殺し、
出雲系の神を悪者にしたうえで、
天照大神を持ち出して正当な祖先としたあげく
神武が倭を立ち上げたと結論付けた。

ではなぜ神武天皇と崇神天皇の2人を
この国を作ったスメラミコトとしているのか?

さらに大日女尊(あるいは大日孁、大日女)という名だった天照大神を
天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊という饒速日の本名に似せて作ったのか。

往々にして征服王朝は過去の歴史をベースに
自らの立場を正当化するために歴史書を編纂する。
権力者による歴史の改ざんは世界的にあることで、
そのために過去の歴史がひずんだものにされ
矛盾を内包した形で歪曲化される。

さらに鎌足はあちこちの神社に素戔嗚と饒速日を抹殺するために
大国主と少名毘古那神を後から祭るなどという改ざんもしている。

記紀の編纂は物部と蘇我を抹殺したのち
藤原の大きな権力の基盤となるために行われた事業。
日向系の天皇たちは、自身が出雲から派生した王朝の主であることを
抹殺できるのなら文句はないはずだ。

出雲の覇者であるスサノオ。
その息子である大年=饒速日が
倭の建国者であったとする、
ここに掲げた書籍の中の数冊は
必ずしもすべてがそうだと
書いてあるわけではないものの
読めば読むほど、説得力があって面白い。

記紀の前に書かれた歴史書は
確かに存在していたはずで
(実際に記紀には過去の書籍からの引用が多い)
鎌足は藤原氏にとって優位な
あるいは理想の国家を作るために
これらの歴史書を抹殺し
(持統天皇も各氏族の歴史書を燃やしある部分これに加担している)
それによって形作られたのが記紀だった。
したがって、記紀は、
彼らが創造した都合の良い歴史だったのかもしれない。

では、出雲はどうなったのか。
まだまだ謎は尽きないのである。
ある意味、古代史はミステリーよりも面白い。

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by darjeeling_days | 2021-01-10 16:30 | book:本 | Comments(0)

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