詩は温かい石のように

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敏器の記事を探すために入手した現代詩手帖という雑誌を
ぱらぱらとめくっていたら(こんな雑誌はいままで知らなかった)、
大好きな作家、池澤夏樹の書いた詩が掲載されていた。

そういえば、この人は詩も書くんだったなあと思い出し、
そういえば、以前詩集を買ったっけと本棚をさがしてみたら、
『池澤夏樹 詩集成』という本が出てきた。

1995年に出版された本なので、
息子の生まれた翌年に買った本だ。

そのころにはもう書かなくなってしまったけれど、
僕も高校時代から結婚するまでは、散文とも詩ともつかない文章を
あれこれノートに書いていたので、
これを買った当時も、好きな作家の詩集というのに興味があったのだろう。
(昔は立原道造が大好きだった。)

今更ながらこの本を手に取りぱらぱらとめくってみると
そこには共感と呼べるような、
心の奥にじんと滲みるような言葉があれこれと並んでいた。

『現代詩手帖』に連載していた
敏器の「夜はラジオの国」の
1999年01月の連載最終回に
敏器はこう書いている。

「詩とはある意味で「温かい石」の如きものだ。
しっかりと掴むことができ、ボケットに入れて街を歩くこともできて、
しかもそれを人に手渡せる。」

「人がそれを握って温度を感じながら掌でころころと
いつまでもころがしていたくなるような、
そうしているうちに伝わった温度が
心の温度と一致するような、そんな何かだ。」

確かにいいえて妙だ。

池澤夏樹のこの詩集の詩を読んで
まさにそんな感じにこれらの言葉を僕は受け取った。

人に手渡すことは考えられないけれど、
自分の心をも暖かくする「暖かい石」のような詩を
また僕も書いてみようかなと思ったりした。
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by darjeeling_days | 2021-05-23 10:15 | word:言葉 | Comments(0)

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