Reading Tracks 2021.12
2021年 12月 26日
12月に読んだ本は、写真のとおり。
今月も、本業の分野に関して、読まなければならない本があって、それを3冊。といっても、これは読み終わるという種類の本ではなく、まずは一通り読んで、また常に読み返す部類の本になる。
『図解即戦力 [ブロックチェーン]のしくみと開発がこれ1冊でしっかりわかる教科書』は、金融システムの根幹を変革しているブロックチェーンの入門書。ブロックチェーンというと通貨・決済手段としての”ビッドコイン”などの暗号資産が思い浮かぶけれど、僕の興味はそっちではなくて、ブロックチェーンという仕組みに様々な権利を乗せて取引ができるようにする仕組みの方だ。特に”トークン化有価証券=セキュリティートークン(ST)”という、株とか社債、あるいは信託受益権、「集団投資スキーム持分」などの証券等の権利を電子的な「トークン」(証票)に表示したものを、このブロックチェーンで権利移転する仕組み。すでに株も社債も昔みたいな紙の券面は電子化され発行されずに移転するので、このトークンに表彰されブロックチェーンに乗って移転する仕組みを採用しても、投資家にとっては実質的には変わらない。しかし、ブロックチェーンの画期的なところは、中央でのコントロールが不要なこと。参加者全員でその取引の整合性を確認しあう仕組みだから、参加者の高いコンプライアンス意識が求められることになり、一人だけずるをすることが出来なくなる。従来の取引は、中央=証券取引所がコントロールしてきたが、それが不要になるという、今までの常識では考えにくいシステムなわけだ。その基礎の基礎を学ぶために、この本は、根っからの文系おやじにもわかり易くてよい本だと思う。
そして、実際に”トークン化有価証券=セキュリティートークン(ST)”の取引を規制する法律やルールについて書かれているのが、『暗号資産・デジタル証券法』と『STOの法律と実務Q&A』の2冊だ。
前者は当初”仮想通貨”と呼ばれたビッドコインなどを、明確に資金決済法に位置づけ、そのデリバティブ取引を金融商品取引法の一種業に位置付けたことを明示するとともに、さらに、上に書いたようなセキュリティートークンの取引(いくつか種類があるが)が一種業に位置付けられ、金商法上の一種業者でなと取引が行えないようにした関連法規について解説された専門書だ。
そして後者は、さらに、その中でもセキュリティートークンの取引等に係る部分に関してQ&Aの方式で解説した専門書になる。セキュリティートークンの取引は、”電子記録移転有価証券表示権利”(トークン化有価証券)と定義され、ざっくりと大きく二つに区分される。つまり、従来募集のみが行われ、流通性がない集団投資スキームなどのみなし有価証券(二項有価証券)が、ブロックチェーンに乗っかると流通性が確保されるため、それを一種業にした”電子記録移転権利”(日本STO協会所管)と、電子記録移転権利には当たらない、従来の株や社債(一項有価証券)の権利をトークン化し、ブロックチェーンに乗せた”有価証券表示権利”(日本証券業協会所管)だ。昨年5月に法律が施行され、日本でも”有価証券表示権利”である社債のブロックチェーン取引からスタートし、ようやく”電子記録移転権利”である不動産関連のSTOなどが出始めて来た。いま僕の所属している団体は、顧客が保有し業者に預けている”有価証券表示権利”や”それに伴う金銭”を保護する仕組みを担う。要するに、銀行が破綻したときに1000万円まで預金保険機構が保護してくれる仕組みの証券版とでもいうのだろう。このような新しい証券がどんどん出てくると、それを取り扱う新しい業者もどんどん現れて、その手の知識を吸収しておかないと、本業が立ちいかなくなるわけだ・・・。ということで、法律原文と見比べながらこれらの本をとにかく読むということなのである・・・。まあ、これは仕事だね。でも、仕事時間では間に合わず、プライベートの時間もひたすら読んでいるというわけなのである。
今月も、本業の分野に関して、読まなければならない本があって、それを3冊。といっても、これは読み終わるという種類の本ではなく、まずは一通り読んで、また常に読み返す部類の本になる。
『図解即戦力 [ブロックチェーン]のしくみと開発がこれ1冊でしっかりわかる教科書』は、金融システムの根幹を変革しているブロックチェーンの入門書。ブロックチェーンというと通貨・決済手段としての”ビッドコイン”などの暗号資産が思い浮かぶけれど、僕の興味はそっちではなくて、ブロックチェーンという仕組みに様々な権利を乗せて取引ができるようにする仕組みの方だ。特に”トークン化有価証券=セキュリティートークン(ST)”という、株とか社債、あるいは信託受益権、「集団投資スキーム持分」などの証券等の権利を電子的な「トークン」(証票)に表示したものを、このブロックチェーンで権利移転する仕組み。すでに株も社債も昔みたいな紙の券面は電子化され発行されずに移転するので、このトークンに表彰されブロックチェーンに乗って移転する仕組みを採用しても、投資家にとっては実質的には変わらない。しかし、ブロックチェーンの画期的なところは、中央でのコントロールが不要なこと。参加者全員でその取引の整合性を確認しあう仕組みだから、参加者の高いコンプライアンス意識が求められることになり、一人だけずるをすることが出来なくなる。従来の取引は、中央=証券取引所がコントロールしてきたが、それが不要になるという、今までの常識では考えにくいシステムなわけだ。その基礎の基礎を学ぶために、この本は、根っからの文系おやじにもわかり易くてよい本だと思う。
そして、実際に”トークン化有価証券=セキュリティートークン(ST)”の取引を規制する法律やルールについて書かれているのが、『暗号資産・デジタル証券法』と『STOの法律と実務Q&A』の2冊だ。
前者は当初”仮想通貨”と呼ばれたビッドコインなどを、明確に資金決済法に位置づけ、そのデリバティブ取引を金融商品取引法の一種業に位置付けたことを明示するとともに、さらに、上に書いたようなセキュリティートークンの取引(いくつか種類があるが)が一種業に位置付けられ、金商法上の一種業者でなと取引が行えないようにした関連法規について解説された専門書だ。
そして後者は、さらに、その中でもセキュリティートークンの取引等に係る部分に関してQ&Aの方式で解説した専門書になる。セキュリティートークンの取引は、”電子記録移転有価証券表示権利”(トークン化有価証券)と定義され、ざっくりと大きく二つに区分される。つまり、従来募集のみが行われ、流通性がない集団投資スキームなどのみなし有価証券(二項有価証券)が、ブロックチェーンに乗っかると流通性が確保されるため、それを一種業にした”電子記録移転権利”(日本STO協会所管)と、電子記録移転権利には当たらない、従来の株や社債(一項有価証券)の権利をトークン化し、ブロックチェーンに乗せた”有価証券表示権利”(日本証券業協会所管)だ。昨年5月に法律が施行され、日本でも”有価証券表示権利”である社債のブロックチェーン取引からスタートし、ようやく”電子記録移転権利”である不動産関連のSTOなどが出始めて来た。いま僕の所属している団体は、顧客が保有し業者に預けている”有価証券表示権利”や”それに伴う金銭”を保護する仕組みを担う。要するに、銀行が破綻したときに1000万円まで預金保険機構が保護してくれる仕組みの証券版とでもいうのだろう。このような新しい証券がどんどん出てくると、それを取り扱う新しい業者もどんどん現れて、その手の知識を吸収しておかないと、本業が立ちいかなくなるわけだ・・・。ということで、法律原文と見比べながらこれらの本をとにかく読むということなのである・・・。まあ、これは仕事だね。でも、仕事時間では間に合わず、プライベートの時間もひたすら読んでいるというわけなのである。
その他の本は、お楽しみ本だ。
『京都おやつ旅』(甲斐みのり著)は、題名そのまま、このところ読みまくっている甲斐みのりさんが、京都で出会ったお気に入りや、記憶に残るおやつを紹介する内容の本。甲斐みのりさんには、『RAAKの京都だより』、『乙女の京都』、『京都おでかけ帖 12ケ月の憧れ案内』、『たのしいおいしい京都ごはんとおやつ』、『甲斐みのりの旅のしおり京都』、『たのしいおいしい京都ごはんとおやつ』、『京都ロマンチック案内 乙女の京都』、や京都の老舗カフェ”六曜社”の奥野 美穂子との共著『京都・東京甘い架け橋 お菓子で綴る12か月の往復書簡』など、京都にまつわるガイド本が多い。この『京都おやつ旅』は、ケーキやゼリー、チョコレートに豆餅、団子、麩菓子にドーナツなど、こんなに美味しく楽しいお菓子が京都に存在していることを改めて教えてくれる楽しい本だ。洛北、洛東、洛中、洛西、洛南と地域を5つに分け、老舗から新鋭のお店まで、おやつの宝庫である京都を存分に紹介する甲斐みのりさんの視点に、改めて”やはり京都好きやわ!”と思わせてくれるのである。
同じ”食”関係では、よく読ませてもらっている作家の辻仁成氏が、dancyuに連載していたレシピなどを集大成し発行した『パリの”食べる”スープ』が面白い。辻さんの得意とするオニオングラタンスープはもとより、僕も時々作るグヤーシュ・スープ(ハンガリーの物らしいけれど、僕はウィーンで知ったおいしいスープだ。)、そしてボルシチ(ついつい”たいめいけん”のボルシチを思い出す。)、フランス風豚汁、イタリアン・ウェディングスープ、冷製ギリシャ風スープなど、ヨーロッパ各地で食べられるスープを、パリのアパートの台所で、息子君への愛情たっぷりに作り上げるのが素晴らしい。最近息子君との仲がうまくいっていなくて悩むとおちゃんだけど、頑張っているなと思わず読みながら応援してしまうのである。今も”Design Stories”に掲載されている辻氏の日記は、お気に入りなのである。
『自分らしさを見つめるための手相の本』(佐々木藍著)は、知人が一人で始めた出版社”風鯨社”の記念すべき第一作だ。風鯨社については、11月に下のリンクで書いたのだけれど、12月13日についにこの本が発売になったのだった。Amazonの書評にも書いたのだけれど、”手相は見てもらうもの”という認識があったが、この本が示してくれる内容を確認しながら、自分の手相がどうなっているのかを知ると、その結果として、自分の知らない点を見直させてくれる。こうだと自分が思っていたこと(性格とか思考とか。)が、もしかしたらこうなのかもしれないと示されると、自分をこういう人間だと思っていた部分をもういちど見直すことができ、再度自分を見直すきっかけになるというのは、面白い体験だった。何かを占うのではなく、自分はどういう人間か、どういう人間になるべきかを、考えてみることのできる、良書だと思う。
先日Book Offで購入した『羊を巡る冒険(上)』(村上春樹著)、専門書の精読の間に、気分転換にパラパラとめくっている。村上春樹の文章は読みやすい。内容はなかなかにして複雑ではあるが、すっと読めてしまうのだ。この本は、小学館で長年文芸書の雑誌の編集長を務めた知人の稲垣さんをして、”村上春樹では、何といっても『羊を巡る冒険』が好きだ”と言わしめる名作だ。僕の村上春樹嫌いの原点でもあり、村上春樹から抜け出せない原点でもある。結局僕は村上春樹が好きなんだなと、最近では、諦念しているのである。内容は今更僕が語るまでもない。
最後は、家政婦の志摩さんで有名な、タサン志摩さんの『タサン家の冬の食卓』。家人にもっていかれていたのだえれど、僕が料理当番の週末には戻ってくる(笑)。フランス家庭料理の作り方を基本にしつつも、日々のごはんづくりがラクになって、暮らしが楽しくなるヒントが満載のMOOK本だ。「第2章●ようこそ! タサン家のクリスマスへ」というこの季節にぴったりのページもあったのだけれど、ついついクリスマスイブは、買ってきたもので済ませてしまったので、出番はなかったけれど、鶏の焼き方とかは、何時かつくってみたいものだ。次は『志麻さんの台所ルール 毎日のごはん作りがラクになる、一生ものの料理のコツ』を買って、自己流の料理を少しでもまともにしていきたいものである(一応若かりし頃、家人と料理教室には通ったけれどね。)。
『京都おやつ旅』(甲斐みのり著)は、題名そのまま、このところ読みまくっている甲斐みのりさんが、京都で出会ったお気に入りや、記憶に残るおやつを紹介する内容の本。甲斐みのりさんには、『RAAKの京都だより』、『乙女の京都』、『京都おでかけ帖 12ケ月の憧れ案内』、『たのしいおいしい京都ごはんとおやつ』、『甲斐みのりの旅のしおり京都』、『たのしいおいしい京都ごはんとおやつ』、『京都ロマンチック案内 乙女の京都』、や京都の老舗カフェ”六曜社”の奥野 美穂子との共著『京都・東京甘い架け橋 お菓子で綴る12か月の往復書簡』など、京都にまつわるガイド本が多い。この『京都おやつ旅』は、ケーキやゼリー、チョコレートに豆餅、団子、麩菓子にドーナツなど、こんなに美味しく楽しいお菓子が京都に存在していることを改めて教えてくれる楽しい本だ。洛北、洛東、洛中、洛西、洛南と地域を5つに分け、老舗から新鋭のお店まで、おやつの宝庫である京都を存分に紹介する甲斐みのりさんの視点に、改めて”やはり京都好きやわ!”と思わせてくれるのである。
同じ”食”関係では、よく読ませてもらっている作家の辻仁成氏が、dancyuに連載していたレシピなどを集大成し発行した『パリの”食べる”スープ』が面白い。辻さんの得意とするオニオングラタンスープはもとより、僕も時々作るグヤーシュ・スープ(ハンガリーの物らしいけれど、僕はウィーンで知ったおいしいスープだ。)、そしてボルシチ(ついつい”たいめいけん”のボルシチを思い出す。)、フランス風豚汁、イタリアン・ウェディングスープ、冷製ギリシャ風スープなど、ヨーロッパ各地で食べられるスープを、パリのアパートの台所で、息子君への愛情たっぷりに作り上げるのが素晴らしい。最近息子君との仲がうまくいっていなくて悩むとおちゃんだけど、頑張っているなと思わず読みながら応援してしまうのである。今も”Design Stories”に掲載されている辻氏の日記は、お気に入りなのである。
『自分らしさを見つめるための手相の本』(佐々木藍著)は、知人が一人で始めた出版社”風鯨社”の記念すべき第一作だ。風鯨社については、11月に下のリンクで書いたのだけれど、12月13日についにこの本が発売になったのだった。Amazonの書評にも書いたのだけれど、”手相は見てもらうもの”という認識があったが、この本が示してくれる内容を確認しながら、自分の手相がどうなっているのかを知ると、その結果として、自分の知らない点を見直させてくれる。こうだと自分が思っていたこと(性格とか思考とか。)が、もしかしたらこうなのかもしれないと示されると、自分をこういう人間だと思っていた部分をもういちど見直すことができ、再度自分を見直すきっかけになるというのは、面白い体験だった。何かを占うのではなく、自分はどういう人間か、どういう人間になるべきかを、考えてみることのできる、良書だと思う。
先日Book Offで購入した『羊を巡る冒険(上)』(村上春樹著)、専門書の精読の間に、気分転換にパラパラとめくっている。村上春樹の文章は読みやすい。内容はなかなかにして複雑ではあるが、すっと読めてしまうのだ。この本は、小学館で長年文芸書の雑誌の編集長を務めた知人の稲垣さんをして、”村上春樹では、何といっても『羊を巡る冒険』が好きだ”と言わしめる名作だ。僕の村上春樹嫌いの原点でもあり、村上春樹から抜け出せない原点でもある。結局僕は村上春樹が好きなんだなと、最近では、諦念しているのである。内容は今更僕が語るまでもない。
最後は、家政婦の志摩さんで有名な、タサン志摩さんの『タサン家の冬の食卓』。家人にもっていかれていたのだえれど、僕が料理当番の週末には戻ってくる(笑)。フランス家庭料理の作り方を基本にしつつも、日々のごはんづくりがラクになって、暮らしが楽しくなるヒントが満載のMOOK本だ。「第2章●ようこそ! タサン家のクリスマスへ」というこの季節にぴったりのページもあったのだけれど、ついついクリスマスイブは、買ってきたもので済ませてしまったので、出番はなかったけれど、鶏の焼き方とかは、何時かつくってみたいものだ。次は『志麻さんの台所ルール 毎日のごはん作りがラクになる、一生ものの料理のコツ』を買って、自己流の料理を少しでもまともにしていきたいものである(一応若かりし頃、家人と料理教室には通ったけれどね。)。
by darjeeling_days
| 2021-12-26 20:03
| book:本
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