八十八夜

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去年の5月1日が八十八夜(はちじゅうはちや)だったので、今年も5月1日だとすっかり思い込んでいたのだけれど、今年の八十八夜は今日なのだと、今朝、通勤電車の中で読んだNet Newsで、今頃知った。

八十八夜は季節の移りかわりの目安となる雑節(ざっせつ)のひとつで、この頃から霜がおりなくなるので、稲の種まきや茶摘みの目安とされてきた。農業のために作られたといっても過言ではない日本の暦の、なんとも末広がりにおめでたい日。立春から数えて88日目で、今がちょうど日本では茶摘みの季節。

中国だと4月5日ごろの清明節を目安に早摘みの極上茶が”明前茶”と呼ばれ珍重されてきた。さらに、5月20日の穀雨を境にそれ以前に撮れる茶を雨前茶と読んでこれもまた良いお茶の一つに数えられた。中国の茶の産地は、上海を起点に考えるとわかりやすいので、地図で見ると日本より南に位置するため、その分茶摘みが早くなる。だから、中国茶の世界では八十八夜などという暦は存在しないわけだ。

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この写真のお茶は、雲南省の緑茶だから、新茶が出回るのはもっと早くて3月下旬。春分の日よりも前の茶を分前茶と呼ぶが、まさにそんなお茶になる。香りがまるで柑橘系のようにさわやかで、日本の緑茶とは全く違う味わいなのだけれど、日本で生まれ育った僕は、普段飲む日本茶にほっとする。一時期あんなに魅了されていた中国茶ではあるが、最近ではこういう異国の茶は、時々楽しめればいいかなと思うようになった。

だからだろうか。八十八夜という言葉に、最近は妙に親しみを覚える。”おお、これから美味しい日本の茶が飲めるのだなあ”と。去年は八女茶をたくさん飲んだので、今年は静岡のお茶を飲んでみようか。日本にも面白いお茶はたくさんあるけれど、ほっとなごめるお茶が飲みたい。そう思うのである。

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by darjeeling_days | 2022-05-02 07:16 | tea:茶 | Comments(0)

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