Darjeeling Days:book:本
2023-11-30T09:10:11+09:00
darjeeling_days
美味しいものを食べて、旅して、写真を撮って、本を読む。そんな日常の極上の楽しみを切り出した、至極個人的なブログです。https://www.tearecipe.net/
Excite Blog
”Darjeeling Days”へようこそ!
http://teesta.exblog.jp/28435663/
2012-12-31T23:59:00+09:00
2023-11-01T16:17:00+09:00
2021-02-09T11:11:00+09:00
darjeeling_days
word:言葉
Darjeeling Daysとは?
このブログは、2004年にexblogでスタートしたblogを踏襲したもので、
一時FC2に移転した後、再びこちらに戻り継続しているものです。
(経緯はこちらをご覧ください ⇒「ブログスタート!」)
1996年にウェブサイトを始めたころから
ウエブ日記のようなものを公表するようになりました。
最初は坦々とその日の出来事を日記として綴っていましたが、
そのうち、blogブームになり今よりも格段にアクセス数も多かった頃には、
日々の出来事をblogにそのまま書くのは今一つ恥ずかしすぎるので、
一日の中であった出来事の中からこれはということを切り出して
ここに綴っておこうと思うようになり、
現在に至りました。
最近の興味は
・食べ歩き 和・仏・伊・洋・中・エスニック
・パン屋さん巡り
・神社巡り
・温泉
・旅
・万年筆、インク、紙
・本
・料理(炊き込みご飯とパスタ)
・カメラ・写真
・雑誌作り
と、なんとも幅広くあれこれ好き勝手に
興味の対象があちこちにぶれますが、
そんな日常のあれこれを超私的に彷徨するBLOGが
このDarjeeling Daysといったところです。
過去記事に穴あき部分が多々ありますが、
時間がある時に過去の記事もUPしています。
その意味では、まあ、個人的には
完全な備忘録日記という感じでしょうか。
では、では、
ゆるゆるとお楽しみいただければ幸いです。
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ちなみにDarjeeling Daysとは、
「ダージリンでの日々」という造語で
僕自身、紅茶ダージリンがめちゃくちゃ好きなので、
いつかダージリンに行って過ごしたい、
そんな願望からこの名前を使うようになった次第です。
季刊誌の名前も、あちこちのSNSも
基本、Darjeeling Daysをメインに利用しています。
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Darjeeling Days編集部 K.H
https://www.tearecipe.net/
(注)
ちなみに、僕はこのBlogの中で「妻」のことを「家人(かじん)」と呼んでいます。
家人といっても家人(けにん)ではありません。
家人(けにん)といってしまうと、家につかえる者とか
家来。古代の奴隷(どれい)的賤民(せんみん)という
意図した意味とはまったくちがうことばになるので、要注意であることは理解しています。
いまはフェミニストと称する一部の妙な人たちが
言葉狩りまで始めていてとても居心地が悪いのですが、
それを気にしてというわけではなく、
「妻」よりも「家人」と呼ぶ方が、
僕にとっては「自分との位置関係」においてフラットだと思うからです。
なかには家人(かじん)という言葉も
絶対権力をもった主人からみた家の中にいる人を意味すると解する人もいるようですが、
僕はそのような意味で使っているのではないことを
ここに記しておきます。
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多摩市中央図書館
http://teesta.exblog.jp/29755049/
2023-11-25T11:30:00+09:00
2023-11-30T09:10:11+09:00
2023-11-28T16:11:25+09:00
darjeeling_days
book:本
多摩センターの中央公園に、新しい図書館「多摩市立中央図書館」ができたという話は、ずいぶん前に聞いていた。工事が始まる前に、ここに図書館ができるらしいよという話を家人が誰かから聞いたらしく教えてくれた。その図書館に、今日行ってみた。
もともと多摩市の中央図書館は、旧西落合中学校跡地にあったのだが、今年5月7日に閉館して、そこから今回の新しい中央図書館に移転し、7月1日にオープンしたのだという。
多摩センターの駅からまっすぐ伸びるパルテノン多摩への道をまっすぐ登り、突き当りを左手に折れて公園へ入っていくと、その突き当りに中央図書館がある。
建物は公園側からは平屋建てに見えるが、反対側が坂になっているので実際には2階建てで、外観は中央公園とレンガ坂に調和し、街並みに溶け込むデザインになっている。ガラスが多用され、明るい図書館になっている。
中央公園、レンガ坂に面している2階の座席数は約300席。暮らしに身近なテーマの本(料理の本など)や児童書(絵本などあれこれある)を配架してあった。このスペースは、いいかも。なかなか使えそうな本も並んでいて、最近本屋で探してたけれど見つからなかったパスタの本もあった。今度仮にこよう。
そのほかに、市民団体向けの活動室、グループ学習ができるスペースや、ちいさなカフェっぽい喫茶コーナーもあった。
2階から1階に降りるエスカレーターの横には、階段状の読書スペースがあって、そこに座って本を読むことができる。
その1階は座席数140席あり、窓があまり広くないのでやや暗い雰囲気なのだけれど、小説や専門書を中心とした書籍や新聞、各種専門資料が並んでいた。静かな空間で読書や調べものができる従来の図書館に近いフロアになっている。
広さがあるので、全体として開放感のある広場のような図書館をイメージしており、賑わいを創出する狙いもあようだった。
2階の喫茶コーナー「カフェれすとモモ」は、軽食(カレーやおにぎりなど)も食べられて、喫茶メニューもあれこれあった。近隣のパン屋のパンも販売されているようで、喫茶専門コーナーに着席して食べることができる。僕はレモンドリンクで家人はクリームソーダー。こういう図書館とか校舎でクリームソーダーを飲むと、大学時代の学食でクリームソーダーよく飲んだのを思い出すなあ。
こんどもっとじっくりと本を読みに来たいものだ。南大沢図書館もリノベしないかなあ。
多摩市立中央図書館
住所:東京都多摩市落合2-35(多摩中央公園内)
電話:042-373-7955
営業:9:30~20:00
定休:第一、第三木曜日(祝日の場合は開館)、年末年始、特別整理期間
https://www.library.tama.tokyo.jp/index?0
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香咲さんのオートバイ小説 続き
http://teesta.exblog.jp/29750261/
2023-11-19T15:00:00+09:00
2023-11-22T10:19:01+09:00
2023-11-22T10:19:01+09:00
darjeeling_days
book:本
先日、香咲さんのオートバイ小説が好きだったことを書いた。
その後すぐに、片岡さんの『とくには星の下で眠る』を読んでしまったため、ついつい片岡義男のオートバイ小説を立て続けに何本か読んだのだけれど、香咲さんの小説も読み返したいなと思い、ついつい、Amazonで古本の文庫を2冊ぽちっとしてしまった。
香咲さんの小説は、今読み返すと、素人小説。女子大生に毛の生えたような年齢の女性が、オートバイにのって、当時のトレンディーなあれこれをまぶしました的な小説なのだけれど、片岡さんのような、美人が出てきて、あっさりとした恋愛感情が流れているというストーリーが多いので、一見軟派に見えるのだが、その実、奥底は結構な硬派小説でしたというのとはまるで違うのが、逆に面白いなあとおもった。
当時は、こういう小説にある意味憧れがあって、めちゃくちゃ馬鹿にしながらも『なんとなくクリスタル』を読んでしまったのと、どこかしら共通する当時の空気というのがあったのかもしれない。もっとも、香咲さんの小説は、題材がオートバイに乗る女性なので、その姿勢は、田中康夫とは一線を画していたけれど。
今回買ったのは、香咲さんの処女作である『彼女のライダーズ・シック』と『終らない夏』。
『彼女のライダーズ・シック』は、オートバイをめぐる女性たちの、それぞれの冒険を淡々と描く小説集。夢を追い、恋を追い、そして旅立っていく彼女たちに共通するのは、オートバイに乗って風になる瞬間に奇妙な充実感をあたえるということ。そんなセンシティブな感情をうまく表現した小説だ。
そして『終わらない夏』は、悪く言うと不倫小説。よく言えば、閉じ込められた日常からオートバイで抜け出した先にある、開放された愛の高揚と決別という感じだろうか。いずれも、オートバイに乗っている時の描写は、結構秀逸だと思う。やはりオートバイ乗りにしか書けない小説という感じなのだろうか。やはりさらりとしているところが、香咲さんらしい。
この勢いで、山川健一等の昔のオートバイ小説も読んでしまおうか。
香咲弥須子
https://www.acim-yasukokasaki.net/%E9%A6%99%E5%92%B2%E5%BC%A5%E9%A0%88%E5%AD%90/
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BOOTHで本を買う
http://teesta.exblog.jp/29745978/
2023-11-16T15:00:00+09:00
2023-11-16T15:59:32+09:00
2023-11-16T15:22:08+09:00
darjeeling_days
book:本
小説を書いている人が結構いることを、「カクヨム」というwebのプラットフォームで知ったのだけれど、そういうのを書いて実際に出版社から販売するのはなかなか難しい。本を出すのが大変なことは、親友の小説の出版にちょこっと触れたことがあるので、よくわかるし、自分でも『中国茶の本』(永岡書店・既に絶版)を出したことがあるので、なんとなく理解している。
だからだろうか、紙の本、あるいは、ダウンロード的な電子書籍の形で、本を世に出す人も沢山いる。僕も季刊Darjeeling Daysを編集していた際に、Amazonで電子書籍を販売できることを知った。
今回、茶飲み友達で知人のライター、のうとみさんが、Facebook に「買った本」として紹介していた川口有希というライターさんが書いた『新装版 東京打ち合わせ手帖』の上下が読んでみたくて、けんさくしてみたら、BOOTHというサイトで販売していることが分かった。BOOTHという名前は、なんとなくオタクが同人誌(や、コスプレ写真集等)を販売するサイト的な認識では知っていたのだけれど、割と幅広く、小説、エッセイからイラスト、写真集まで、扱っていることを今回初めて知った。
『新装版 東京打ち合わせ手帖』は、東京都内の打ち合わせに適したスペースや喫茶店を集めた本で、意外と便利らしい。確かに都内でちょこっと打合せするのに待ち合わせする店って、なかなか見つけにくい。一昨年、『ボイジャー』プロジェクトをスタートさせるときに打合せで使う店を探すのに、四苦八苦したっけ。
なので、面白そうだなと思ったのだった。
他にも面白そうなものはないかと、検索キーワードを入れて、覗いてみたら、『スーパーカブ全力巡礼ガイド』(アニメ・コミック『スーパーカブ』の聖地巡礼のためのガイドブック・先日巡ってきたが、先によんでおきたかった。)とか、『さぬきうどんの歩き方』(琴電にのって讃岐うどんを食べに行くためのガイド)、『聖地の歩き方 信州編』(アニメの聖地巡りのガイドブック)など、いろいろと面白そうなものも転がっていた。
ただし、思いのほか数は少なさそうで、イラストとか漫画が多いのが、このサイトの特徴だろうか。たまに覗いて、面白そうなものを探すという感じだろうか?
BOOTH
https://booth.pm/ja
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カクヨムで小説を読む
http://teesta.exblog.jp/29744498/
2023-11-09T20:00:00+09:00
2023-11-14T12:56:38+09:00
2023-11-14T12:54:40+09:00
darjeeling_days
book:本
文章を書くのは嫌いではない。嫌いだったら、そもそもBlogなど書くわけがない。もちろん、文章を読むのも嫌いではない。いや、むしろ好きな方だと思う。昔から小説を中心にエッセイやら日記文学やら、あれこれを読んできた。
紙の本が好きなので、どうしても本棚に本が並ぶ。一時期ずいぶん自炊(切断しスキャンする)したので、本の数は1/5ぐらいにはなっただろうか。確かに昔読んだ本、取っておきたい本を、iPadの中に全部入れて持ち歩けるのはかなり便利な昨今だ。僕のiPadには、相当数の本が入っている。
そういう状況なのにもかかわらず、新しい本を未だにkindleで本を買うのは、若干ためらわれたりする。一度は手に紙の本としてもって、ページをめくりたいからか。だから、先日も、めちゃくちゃ分厚い京極夏彦の本を買ったりしているのだ。
巷には、小説を書くことが好きな人も多くて、やはり紙の本にするのは大変な費用と努力が必要なので、手っ取り早くネットに小説を書いてUPする人もおおい。そんな人たちのためのプラットフォームとして、「カクヨム」というサービスが存在する。かの(どの?)『スーパーカブ』の原作小説もここで誕生した。いまだに連載が続いているので、最近はこのサイトに良く来たりしている。
他のオートバイ小説などもめくってみるけれど、やはりその人の文章力というのは、ちょこっと読むだけでよくわかる。意外と面白い小説も転がっていたりする一方で、うーん、これはなに?というのも存在しているのが、まあこのサイトの面白いところか。
なので、会社帰りの時々に、iPadでカクヨムを読むのである。
ただ一点、このサイトのデメリットは、横書きなこと。どうでもいい話だが、僕は小説は縦書きで読みたい人間なのである。だって、横書きって、仕事のレポート(報告書)みたいじゃないか・・・。
カクヨム
https://kakuyomu.jp/
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香咲 弥須子のオートバイ小説が好きだった
http://teesta.exblog.jp/29743084/
2023-10-25T20:00:00+09:00
2023-11-12T13:44:26+09:00
2023-11-12T13:44:26+09:00
darjeeling_days
book:本
10代後半から原付免許から始まり、車、そして中型自動二輪の免許を取った。それはなぜか。まずはオートバイに乗りたかったから。では、なぜオートバイに乗りたかったのか?
1977年に出版された片岡義男の「彼のオートバイ、彼女の島』を読んだからだ。もちろん、高校生になるとなんとなく周りがオートバイに興味を持ち、だれとなくどこからか、オートバイが回ってくる。僕のとこにも、いつの間にか、DAXとかがどこからか回ってきて、乗り回し足りしていた。
HONDA XLX250やYAMAHA SR400を乗り回していたころ、片岡義男のほかに、いろんなオートバイ小説を読んだことを、2009年にこのブログにも書き記しているが、その中でも訳もなく好きだったのが、香咲 弥須子のバイク小説だった。
香咲さんは、今はNYでヒーリング関連の仕事をしているらしい。僕らよりいくつかお姉さんだったけれど、当時は、本当にあこがれのマドンナ的な存在で(礼子さんはビジュアルだけれど、香咲さんは、知的で美人なライターという立ち位置。)、微妙な憂いを秘めた小説は、なんとも好みだったことを覚えている。
いまも2冊手元にあるけれど、彼女のバイク関連の本は以下の通り。
『時には、ツイン・トリップ』 山川健一共著 冬樹社 1985.10
『グッバイ!タンデムシート』 立風書房 1985.4 のち角川文庫
『彼女のライダーズ・シック 』三推社 1986.6 のち角川文庫
『終らない夏』 角川書店 1987.2 のち文庫
『彼女の二重生活』 三推社 1987.6
今手元にあるのは、『時には、ツイン・トリップ』 と『グッバイ!タンデムシート』。もはや社会人になって、SR400 であちこち走り回っていたころに読んだ小説。『時には、ツイン・トリップ』は、やはりバイク小説を書いていた山川健一との共著。山川健一も結構読んだけれど、やっぱり香咲さんの方が好きだったな。
不思議なのは、例えば、『冷静と情熱のあいだ』は男性と女性の立場でそれぞれ辻仁成と江國香織が書いた恋愛小説。同じ立ち位置なのに、こんなにも発想が違うのかと、かなり衝撃を受けたものだった。この小説に関しては、辻の描いた 「Blu(ブリュ)」の方が好きだった。
一方で、『時には、ツイン・トリップ』は、香咲、山川という男女が、それぞれの立場で書いたエッセイのような小説のような作品なのだけれど、これに関しては、切符の良い男前の香咲さんの文の方が圧倒的に好きだった。
だけれど、1980年代が終わると、すっかり香咲さんの小説からも卒業した。香咲さん自体がバイク小説から卒業したというのもある。もちろん、片岡さんはその後も様々に読み続け、現在に至る・・・なのだけれど。
なんか、急に香咲さんのことを思い出して、懐かしい本を引っ張り出したのだった。しばらくバイク小説を読みまくりそうだ。
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アニメ「スーパーカブ」の原作コミックを買った
http://teesta.exblog.jp/29728118/
2023-10-11T20:40:00+09:00
2023-10-23T16:21:30+09:00
2023-10-23T16:21:30+09:00
darjeeling_days
book:本
僕がスーパーカブを購入するきっかけになったアニメ「スーパーカブ」。
両親も友達も趣味も持たず、孤独で単調な毎日を過ごしていた主人公の女子高生子熊。彼女は、ひょんなことから中古のスーパーカブを格安で手に入れる。 カブを通して友情や冒険が暮らしの中に芽生えはじめ、退屈な日常がグラデーションのように色づいていく過程を描いた、なかなか共感の持てる物語だ。
最近、モトブログ界隈では、このアニメ「スーパーカブ」の聖地巡り(聖地巡礼ともいう)が流行っているらしく、近隣のモトブロガーKOBAさんも、北斗の聖地を紹介しているのを見て、ふむ、そのうち僕も行ってみるかなと思い始めていた。
ところが、KOBAさん曰く、TV放送されたアニメ「スーパーカブ」の原作コミック(本当の原作は小説)では、高校を卒業しようとする主人公の女の子子熊が選んだ大学(というか、推薦で行くことになった大学だが)が、なんと我が町にある都立大だというではないか。まさに居ながらにして聖地巡礼?笑。
ならば、KOBAさんいうところの地元で聖地巡礼しなければと、メルカリで「スーパーカブ」の漫画全8巻+α(スピンオフが1巻)を購入してしまったのだった。
TVアニメでは、このコミックの4~5巻あたりまでが描かれているのだが、その後の6巻には、推薦してもらえる大学を見に行くという内容で、なんと南大沢が描かれている。
見知った光景がこんな風にコミックやイラストみたいな形で登場するのは、なんとも不思議が感じがする。本家の北杜へ聖地巡礼する前に、近隣の聖地巡礼を先にすべきなのか、それとも、やはり、本命の聖地巡礼をすべきなのか。
いずれにせよ、こんなおっさんが、アニメ・コミックの女子高生が歩いたとされる場所を聖地巡礼と称して巡る日が来るなんて、なんともいやはや・・・。
アニメ「スーパーカブ」
https://supercub-anime.com/
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『鵼の碑』京極夏彦
http://teesta.exblog.jp/29727782/
2023-10-06T20:30:00+09:00
2023-10-23T08:16:40+09:00
2023-10-23T08:16:40+09:00
darjeeling_days
book:本
京極夏彦といえば、「百鬼夜行」。古書肆「京極堂」の店主である中禅寺秋彦が「憑物落し」で、謎に包まれた事件を解き明かす面白いミステリー小説。『姑獲鳥の夏』から始まり、『魍魎の匣』、『狂骨の夢』、『鉄鼠の檻』、『絡新婦の理』、『塗仏の宴 宴の支度』、『塗仏の宴 宴の始末』、『陰摩羅鬼の瑕』そして『邪魅の雫』とシリーズを繋いできたが、直近の『邪魅の雫』が出たのが2006年9月で、そこから実に17年ぶりの新作長編が発売になった。
もちろん、買わない手はない。
京極夏彦の小説は、どれも結構読むのにエネルギーが必要で、様々な伏線は張り巡らされ、さらに、様々な知識があると面白く読めるために、さあ読むぞという気にならないと、読み進められないのが難点。
それに、17年も開いてしまっていると、そもそも「前作の話ってどんなだったっけ?」と思ったりする。
この17年の間尾、2019年に『今昔百鬼拾遺 鬼』、『今昔百鬼拾遺 河童』、『今昔百鬼拾遺 天狗』と関連3冊小説集が発売されてはいるけれど、やはり長編小説の流れを思い出せないとちょっと辛いものがある。
さらに、巷説百物語シリーズや書楼弔堂シリーズもすきだったので、なんかいろいろと頭の中で混ざり合ってしまっている。リタイアメントしたら、まずは京極夏彦を一から読み直してみたいものだ。
それにしても、相変わらずの本の厚さ。「レンガ本」や「鈍器」などと称されるように、京極夏彦の小説はとにかく分厚い。通勤電車で読んでいると、手がつかれるともっぱらの評判だったのだけれど、この本もやはり厚かった。それだけ読みごたえがあるということなのだろうけれど、やはりもう少し気力をためてから取り掛かることにするかな。
https://amzn.to/4714Pz6
京極夏彦
https://osawa-office.co.jp/write/kyogoku.html
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南十字の音のイベント
http://teesta.exblog.jp/29650464/
2023-07-23T22:00:00+09:00
2023-07-25T12:29:35+09:00
2023-07-25T11:47:35+09:00
darjeeling_days
book:本
今日は2か月ぐらい前からお誘いを受けていたイベントの日だった。前日から出かけることを想定して、準備を進めていたのだけれど、朝起きて体調絶不調。やむなくドタキャンをして、家で寝ている日になってしまった。
なんのイベントかというと、「小説『ボイジャーに伝えて』×知名オーディオ〜小説に出てくる音の世界を堪能しよう〜」というもの。親友 駒沢敏器の小説『ボイジャーに伝えて』の出版1年を記念して、出版してくれた風鯨社の鈴木さんが、自分の手掛ける書店「南十字」で、敏器の小説に出てくる「主人公が沖縄で出会ったスピーカー」の元である知名オーディオのスピーカーを使って、敏器の関連の音楽などを視聴しようというイベントだった。
告知文章にはこのような記載がされている。
"自然の中にある何かに手を触れて、その向こう側へ抜けると、そこは宇宙へつながっている"
昨年、南十字メンバーの運営する風鯨社より出版された小説『ボイジャーに伝えて』(著:駒沢敏器)は、フィールドレコーディングの旅をしながら、音の向こうにある世界を追い求める青年が主人公。
音を巡る旅の中で、彼はあるスピーカーと出会い沖縄に導かれ、物語が展開していきます。
この作品は著者である駒沢敏器さん自身の体験が色濃く反映された小説ですが、その小説内で出会う不思議なスピーカーとそれを開発した”仙人のような“開発者は、実在の沖縄のオーディオメーカー「知名オーディオ」さんがモデルとなっています。
そんな『知名オーディオ』さんが南十字に来てくれることになり、小説内の音の世界を現実に体験する機会ができました!
著者の駒沢敏器さんが生前録音に参加した音源や、小説内にも登場する実在のフィールドレコーディングラジオ局St.GIGAの音源などを実際に試聴。その他にも様々な音源や曲を聴いてみて、知名オーディオさんのスピーカーの音を堪能しようというイベントです。
そしてイベントのカリキュラムは、
◆前半:<『ボイジャーに伝えて』の音の世界>
小説『ボイジャーに伝えて』に登場するスピーカーの登場シーンの紹介と知名オーディオさんによるお話、実際に小説内に登場するスピーカーで、著者の駒沢敏器が録音に参加したSound Bumの音源や、小説内で主人公が憧れる、実在したフィールドレコーディングのラジオ局『St.GIGA』の音源を聴いてみよう。
◆後半:<音源持ち寄り試聴会>
参加者の持ち寄った音や知名オーディオさんのスピーカーで聴いてみよう。
全国のお寺のお経音源や、ヒマラヤの自然の音、フィールドレコーディング以外の楽曲など
僕は参加できなかったのだけれど、Morgen Roteのメンバーが2名参加して、わざわざ写真とレポートを送ってくれたので、ここに転記しておくことにする。
ボイジャー&知名オーディオイベント、行ってきました。
知名オーディオ、音の本質が空間に満ちると言えばいいのか、歪みや加工やずれがなく素直に響いていました。
大きい方(2.0)はより低音も音の厚みも増して、またスピーカーの開口が2mと床面とにあることもあって、特に自然音は天から地から降り注いで包まれる様でした。ライブ音源はステージ下にいるようで。
小さい方(1.0)は、より繊細な聞こえで、サックスやクロマチックハーモニカのリードのビビリ感も伝わって来ました。
テーブルの左右のパイプが1.0(一番上の写真の金属の筒がスピーカー。)、別名弁当箱のアンプ、部屋の端に大きな2.0が設置されていました。
イベントは、まず、音の巡礼でお経ポッドキャストをやられている遠藤卓也さんが登場。
お経の録音の話や、敏器絡みでフィールド録音された岡田晴夫さん(レコーディングディレクターでパイオニア・新事業創造室で「HAPPY TUNE」をはじめいくつもの商品企画に関わった。)の話しなど聞けました。
岡田さんが亡くなる直前の3ヶ月でレコーディングや敏器と録音した音源の話などしていたそうです。
知名オーディオで、お寺に座っている様で、お寺の鳥の声も聞こえて来ました。
次に紹介頂いたのはヒマラヤで遊牧民と暮らしているMutsumiUmiさん。聞かせて頂いたのは、フィールドレコーディングされた羊たちの声や、夏至の日の出の頃の音や、古来から伝わる伝統的な機織の音。
羊の声は、圧が強くて意識と個性が満載!子羊は可愛い声だったけれど、オヤジの様な声も多数で、みな笑ってました。冬に放牧中の親羊が戻って、室内で待っていた子羊と呼び合っている声とのことでした。
夏至の朝は遠い/近い鳥の声(まるでウグイスも鳴いてました)や蜂の羽音も聞こえて聞こえて来ました。
どちらも谷底から上がってくる水の音が通奏低音の様に流れてました。
木材や裂いた布の紐で作られたハタは、日本では保存会でしか作られていないのだとか。
どんどん変わって無くなってしまうような音を残す為にレコーディングを始めたそうです。
最後は色んな音源を聞かせて頂きました。
稲垣さんからはパットメセニー、英ちゃんからはRy CooderのJAZZ8曲目Davenport BluesとToots ThielemansのQuiet Evenings8曲目のBluesette、さらに、女性ボーカルやピアノ、民族楽器まで様々。
その後、ヒマラヤの夏至に摘んで来た薬草のハーブティーを頂きながら、あちこちで談笑してました。
知名オーディオのサポートで沖縄から同行されていた女性が日大三高卒と分かって共学になってたの!と英ちゃんと盛り上がったり、稲垣さんから、「クセの強い駒沢君がやって来れたのはモルゲンの仲間のお陰だったんじゃないか」なんて話も頂きました。
帰り道は、小学校以来じゃないかという小田原城を、知名オーディオの皆さんと見て帰りましたよー。ライトアップされてました。
もう一人からも
今日はとっても楽しいイベントでした。
知名オーディオのスピーカー、目の前で演奏しているような
音と臨場感、半端なかった。
スピーカーは記憶になかったけど、
アンプは間違いなく見覚えがあったので多分敏器に
パンフレット等見せられたのだと思いました。といった感想が寄せられた。
ちなみに『ボイジャーに伝えて』で、敏器はこのスピーカーについて、このように語っている。
✳︎このアンプとセットになっているスピーカーはあれです、と言った。直径10センチくらいの黒いパイプが2本、高さは1メートルほどだった。どこからどう見ても単なる筒で、そこから音が出るようには見えない。(p143)
✳︎不思議な形をしたスピーカーから流れ出る公平の音は、お店の空気のなかで、ふたたび生命を得たかのようだった。(p190)
✳︎さして大きくもない細長いパイプなのに、音の本質を表現してしまう。原音を忠実に再現するというよりも、かたちにならない本質を取り出してみせるようなところが、こいつにはあるんです(p198)うーん、本当に参加できなかったのは至極残念。いつかこのアンプの音を聞きに沖縄まで(東京でも試聴会しているという)聴きに行きたいものだ。
南十字
住所:神奈川県小田原市南町2丁目1-58
電話:045-984-1009
営業:11:00~18:00(日によって21:00まで)
定休:不定休(サイトを参照)
https://minamijujibooks.com/
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『二十一世紀の名品小物101: プロダクトのマニフェスト101選 2011-2023』
http://teesta.exblog.jp/29626807/
2023-07-07T15:00:00+09:00
2023-07-10T08:12:00+09:00
2023-07-10T08:12:00+09:00
darjeeling_days
book:本
20年来の茶友、ライターの納富さんが、2011年2月から2023年5月まで、夕刊フジ紙上で全301回連載されていた「オトコ小物の名品」から、マスターピースと呼べるモノを101点選びんで掲載した、『二十一世紀の名品小物101: プロダクトのマニフェスト101選 2011-2023』が発行された。
この本は、小物(ガジェット)好きとしてはたまらない、名作だと思う。
最近はyoutubeでガジェット紹介を見ることが多いのだけれど、やはり文章が書ける人は、動画よりも文章でそのガジェットの魅力を非常に詳しくかつ明確に説明してくれるので、読んでいて読み物としても楽しい。
しかも、実際に納富さんが使って、お気に入りの物がきちんとまんべんなく掲載されているので、おお、これ欲しいと思った時に、何も考えずにAmazonなどでぽちっとできるのが凄いのだ。ふつう、youtubeなどで動画紹介されたガジェットでみ、購入する前は、実際に自分の目で見て触って、自分に合っているか相当悩むのだけれど、納富さんが選んだもので、いままで外れたものはない。もちろん、微妙に好き嫌いが分かれることがあるのだけれど、そもそもそういうものを僕は選ばないから、納富さんも選んでいるというだけで、100%の信頼があるわけだ。
納富さんの守備範囲はかなり広い。「小物王」などと呼ばれているが(なんとなく小物王って、微妙な言葉だなあ。あくまでもガジェットキングということであって、small fryという意味では決してない。)、この目次を見てもらっただけで、その守備範囲の広さがよくわかる。
・財布
・書く物の周辺
・衣類
・傘
・バッグとケース
・音楽を巡るいろいろ
・飲み物と食べ物に関するいろいろ
・デスク回り
・意味もなく持っていたいもの
またまた、これを読んで、物欲を刺激されるのである。ちょっとバイク関連グッズを購入しすぎているので、しばらくは我慢なのだけれど・・・。
『二十一世紀の名品小物101: プロダクトのマニフェスト101選 2011-2023』
著者:納富廉邦
出版:Independently published
発行:2023.6.20
ISBN-13:979-8396575219
https://amzn.to/3XKGutJ
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化物語シリーズの新作『戦物語』
http://teesta.exblog.jp/29588017/
2023-05-26T20:45:00+09:00
2023-06-01T08:25:04+09:00
2023-06-01T08:16:53+09:00
darjeeling_days
book:本
5月17日に、西尾維新の新作『戦物語』が発行された。
2006年からスタートした西尾維新の「化物語」シリーズも、29作目になった。一作目の『化物語』ですっかりはまり、ずっと新作が出るたびに買い続けた本で、我が本棚の一段を全部このシリーズが占めている。
もちろん、西尾維新のシリーズは、ほかにも「戯言シリーズ」、それの姉妹編である「最強シリーズ」、「刀物語」シリーズなど、あれこれ読んではいるのだが、やはり「化物語シリーズ」が一番好みなのである。
これは初期のものについてアニメにもなっているのだが、完全に人目をはばかるので、電車などではちょと見ることができないのが残念なのである 笑。
いずれにせよ、高校生だった主人公たちが、ついに結婚か・・・。かなり、いろんな思いが去来するのである。早く読みたいけれど、読み終えるのが持ったない、そんな本ではある。完全に個人的な趣味なのだけれど。
西尾維新
https://book-sp.kodansha.co.jp/nisioisin240/
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村上春樹は読まなければいけない
http://teesta.exblog.jp/29550974/
2023-04-13T20:00:00+09:00
2023-04-18T17:14:12+09:00
2023-04-18T17:14:12+09:00
darjeeling_days
book:本
久しぶりの村上春樹の長編小説が発行された。
村上春樹といえば、『風の歌を聴け』から、直近では『騎士団長殺し』までのすべての長編小説と、『中国行きのスロウ・ボート』、『螢・納屋を焼く・その他の短編』、『回転木馬のデッド・ヒート』、『パン屋再襲撃』、『レキシントンの幽霊』、『東京奇譚集』、『女のいない男たち』、『一人称単数』と、それなりに多くの作品を読んできた。『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』と『海辺のカフカ』は好きだけれど、それ以外は、うーん。でも、ついつい読んでしまうのだ。昔は「村上春樹は嫌い。でも買って読んでしまう。」などと言っていたものだった。そんな僕を見て、駒沢敏器は、「”いやよいやよも好きのうち”だ!」とよく笑っていたっけ。
そう、きっと敏器は彼が生きた時代にでた村上春樹を全部読んでいたに違いない。昔彼に好きな日本の作家はと聞いたら、片岡義男、池澤夏樹、村上春樹の三人を掲げたことがあった。まあ、片岡さんは師匠のようなもので、僕らのような趣味を持つ人間には避けて通れまい。池澤夏樹に関しては『とー、あんしやさ』のところで書いたとおり。僕の池澤夏樹好きは敏器のおかげだった。
しかし、敏器から村上春樹に関して、具体的なことをあまり聞いたことがなかった。たしか『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』が好きだといった僕に対して、「確かによくできたストーリーだ。」と語った記憶は残っている。
ミーヨンさんには、「村上春樹を読みなさい」と言っていたらしい。確かに敏器の小説のどこかに、村上春樹に似た部分がなくはないと思う。小説家としての村上春樹を尊敬していたかどうかはわからないけれど、影響は受けたのだろう。
ともあれ、僕も村上春樹は、読む。好きか嫌いかは別として、村上春樹は読まねばならないのだ。なのでこうして紙の分厚い小説を今回も買ってしまったのだった(そういえば、息子に貸した『騎士団長殺し』はまだ帰ってきていないなあ。)。だから僕は、この連休に村上春樹をじっくりと読む予定だ。
『街とその不確かな壁』
著者:村上春樹
出版:新潮社
発行:2023.04.13
ISBN-10 : 4103534370
ISBN-13 : 978-4103534372
https://amzn.to/3GRsHKI
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『月の本棚 under the new moon』清水美穂子著
http://teesta.exblog.jp/29539450/
2023-04-01T15:00:00+09:00
2023-04-05T09:23:58+09:00
2023-04-05T09:23:58+09:00
darjeeling_days
book:本
All Aboutのガイド仲間だった、ブレッドジャーナリストでライターの清水美穂子さんから一冊の本が届いた。『月の本棚 under the new moon』という題名の、手に盛った感じがとても良い本だった。
この本は、数年前に京都で有名なパン屋さん「プチメック」のサイトに連載されていたエッセイに加筆追記してまとめられた本だった。中身は「本棚」というように、彼女が読んだ本を中心に、彼女自身の行動や嗜好、そして思いが詰まった、書評と呼ぶには私小説的なエッセイだ。
清水さんがこの本を送ってくれた理由は、清水さんが駒沢敏器の『語るに足る、ささやかな人生』を読んだからだった。彼女自身、アメリカの田舎町を旅したことがあり、敏器の文章を読み、再び自分自身がアメリカの田舎町を追体験している気分になれたという。
そう、彼女がこの本で取り上げている本の中には、敏器の好みと似た本もあった。多くは敏器が無くなった後の本たちだったけれど。僕にとっても懐かしい本が何冊も含まれている。たとえば、ポールオースターの『冬の日誌』やレアード・ハントの『インディアナ、インディアナ』など。そしてこれらの本を翻訳した柴田元幸氏の『ケンブリッジ・サーカス』も含まれていた。
本の中身は、これからじっくりと味わうとして、さらっとめくって目に付いたところを読んでみると、彼女の興味の対象の広さ、そして物事に真摯に向き合うものの作り手への尊敬、そして彼女自身の感受性の強さがちりばめられ、言葉の中に織り込まれているのが分かった。先に私小説みたいなエッセイと書いたけれど、そういう意味なのだ。本を通じて彼女自身が体験した様々なこと、物事について見たり感じたりする様がここには描かれる。
そんな言葉を収めた本自体の作りも、かなり上等だ。まず紙質がいい。触っていてさらさらと心地よいし、四六判と小B6判の中間ぐらいの180㎜×120㎜という本のサイズもちょうどいい。そして紙に印刷された文字フォントや紙の上に乗る字の乗り方など、本好きにはたまらない本に仕上がっているのがとても良かった。
そんな彼女は、この本を出すにあたって、昨年出た『ボイジャーに伝えて』についても、取り上げてくれている。そう、清水さんは僕の高校の後輩にあたる。つまり敏器の後輩でもある。そのことがこの本にもさらっと触れられており、そんなところから、わざわざこの本を僕にも送ってくれたのだという。
彼女がここに書いているように、失われてしまった敏器の取材ノートを僕も見てみたかった。きっとモレスキンのノートにBicラウンドスティックで、取材した内容が敏器独特の字で書かれていたに違いない。そんなノートを失ってしまった損失は本当に大きいのだ。
ともあれ、僕は近々、この本と『とー、あんしゃさ』をもって、敏器に報告に行こうと思っている。
『月の本棚 under the new moon』清水美穂子著
著者:清水美穂子
出版:書肆梓
発行:2023.04.20
ISBN-10 : 491026003X
ISBN-13 : 978-4910260037
https://amzn.to/40YhdwG
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『山本彩香 とー、あんしやさ 琉球料理の記憶と味の物語』
http://teesta.exblog.jp/29537365/
2023-03-29T20:30:00+09:00
2023-04-03T06:32:37+09:00
2023-04-02T21:07:30+09:00
darjeeling_days
book:本
2005年8月に沖縄に初めて行った際、当時足しげく沖縄に出かけていた駒沢敏器におすすめの店を聞いたことがあった。もちろん彼の答えは「琉球料理乃山本彩香」。ここは「息子が小さいとはいえ、必ず行くべき店だ」といわれた。ほかにおすすめの店は、居酒屋ぐらいだというのが彼の答え。もちろん、ほかにも、基地近くのタコライス発祥の店とか、行くべき沖縄そばの店とか、そしてハンバーガーの店やアップルパイの店を教えてもらった。
ならばと、とうじまだ9歳だった息子が大丈夫かという懸念は置いておいて、山本彩香さんの店には行くことにした。敏器が予約を取ってくれた。
その山本彩香さんを取材し、敏器はSwich Publishingが発行しているCoyoteという雑誌に2007年9月から2008年6月まで、「とー、あんしゃさ」と題する記事を連載した。写真は、料理教室仲間の関博さん。敏器は、この連載をさらに続けて、ぜひ本にしたい、いやしなくちゃいけないのだと言っていたのだった。もともとは、当時電通にいたさとなお氏との企画だったらしい。本にするとSwitchの新井さんがいうので、Coyoteに記事を連載してくれたSwitchにファーストオプションがあるけれど、結局Coyoteが休刊されていたり、いろんなしがらみがあって、なかなか本にできない。でも、山本さんを取材できる期間も限られているので、それが無理なら映像で残すということも考えているのだと、敏器からはメールで聞いた。さとなお氏と出版社の関係というのは、今一難しい関係にあったようだ。結局、連載の再開も、本の出版もできないまま、敏器は逝ってしまった。
僕らは、敏器のお別れ会でSwitchの代表新井さんに、ぜひ「とーあんしゃさ」を本にして欲しいとお願いしたのだった。
あれから11年。4月1日にSwitch Publishingから『山本彩香 とー、あんしやさ 琉球料理の記憶と味の物語』が発行される。
流れというものは、自然とあるべき方向に流れるのだなあ。そう思ったのは、昨年7月に発行した『ボイジャーに伝えて』が敏器逝去10年の時を経て発行されたことにある。『ボイジャーに伝えて』はいつか発行したいと思っていた編集者と、昔読んだ小説に感銘をうけ、世に出したいと思っていた出版社、そして敏器の応援団であるMorgen Rote編集部の仲間たちの敏器の作品を残したいという意向が重なり必然的に発行された。そしてその発行があったから、この本も出版されることになったのだった。
『ボイジャーに伝えて』が発行されることを、風鯨社の鈴木さんがバイタリティーを発揮し、面識もないSwitchの新井さんに伝えに行った。鈴木さんからは事前に「新井さんにお会いしますがなにかお伝えすることはありますか?」と聞かれた僕は「「とー、あんしゃさ」はどんな具合ですかと聞いてください」とお願いしたのだ。鈴木さんが訪問したすぐ後に、新井さんから「今はまだ「とー、あんしゃさ」ではありません」というメールを受け取った。が、『ボイジャー』の評判が思いのほかよかったためだろうか?新井さんから急に「一度お会いできませんか」との話が飛んできた。
そこからとんとん拍子に話が進んでいったのだった。僕がやったのは、Switchに著作権継承者の方を繋いだことと、資料提供のみ。あとは新井さんが全部取り仕切った。そして、こうしてここに『山本彩香 とー、あんしやさ 琉球料理の記憶と味の物語』が発行されることになった。発行日は、去年のうちから山本彩香さんの誕生日の”4月1日”だと決まっていた。
この本がこうして発行されたことはとてもうれしかったのだけれど、それ以上に感動したのが、池澤夏樹さんが帯と後書きを書いてくれたことだ。
池澤さんは、敏器と面識がなかったと書いている。一方、敏器さんは池澤夏樹さんを尊敬し、『夏の朝の成層圏』から愛読し、『カデナ』を絶賛した。自分の手掛けた『伝説のハワイ』が池澤さんの『ハワイイ紀行』に取り上げてもらえたと、大層喜んでいたのを、僕はいまだによく覚えている。そんな池澤さんに『とー、あんしやさ』をほめてもらえて、本望だろう。
なにしろ、「上司(Switchの新井さんのこと。)が池澤さんに会わせてくれないんだよ」と愚痴をいってたことも、僕は覚えている。是非二人には敏器の生前に実際に会って、山本彩香さんの店で春雨(敏器の好きだった泡盛)で盃を交わしてほしかったと、僕は心から思う。
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Switch Publishing Co., Ltd
https://www.switch-store.net/SHOP/BO0115.html
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復刊プロジェクト
http://teesta.exblog.jp/29536318/
2023-03-25T15:45:00+09:00
2023-04-01T18:19:27+09:00
2023-04-01T18:19:27+09:00
darjeeling_days
book:本
眩暈を起こし、約一週間。幸いその後大きな眩暈に襲われることなく、どうにか生活している。水曜日、木曜日と出勤したけれど、長い距離を歩くとまだ少し揺れる。まあもう少ししたら、もう少しは良くなるだろうなあ。幸いこの週末は天気が悪いので、カブに乗りたい!という欲求は低減するので、まあいいか。
ただ、この週末は、ちょいと出かけて打ち合わせ。何のために出かけるかというと、駒沢敏器の本の復刻プロジェクト。このところ、『ボイジャーに伝えて』に引き続き、4月1日に向け『とー、あんしやさ』が出版される。そんななかで、敏器の本を復刻させましょうという方がいて、実現できるかどうかわからないけれど、そのプロジェクトがスタートする。
敏器の本は、いま、上記2冊以外はすべて廃刊されている。『ミシシッピは月まで狂っている』という本はデジタルで復刻したが、紙媒体の本は絶版のままだ。なので、どうにかして敏器の本を世に出したいと思うのだ。
そんな中、同じ思いの人がいてくれるので、僕としてはできる限りご協力させていただくことにしている。
あれこれ考えられるような手続きなどを打ち合わせしたあと、帰り道で雨の桜を見上げてみた。そういえば、敏器のマンションの前も桜並木だったっけなあなどと思い出した。
今年はなんだか一気に桜がブワッと咲いた気がする。いつもなら早咲の桜とソメイヨシノにはそれなりのインタバルがあるのだけれど、今年はそんなに間がないうちにソメイヨシノが咲き始めた。こういう桜並木を歩いていくと、タイミングが合わないなあと思う。天気と眩暈といろいろが重なって、今年はあきらめる予定。まあ、天気が良くなれば、来週月曜日あたり千鳥ヶ淵を散策してみようかとは思っている。
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駒沢敏器『山本彩香 とー、あんしやさ 琉球料理の記憶と味の物語』
http://teesta.exblog.jp/29522442/
2023-03-14T21:30:00+09:00
2023-03-16T08:47:49+09:00
2023-03-16T08:34:36+09:00
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book:本
スイッチパブリッシングから雑誌coyoteが届いた。2023年3月号のcoyoteの中に、去年から動き出した駒沢敏器の『山本彩香 とー、あんしやさ 琉球料理の記憶と味の物語』の発行に絡んで、いくつか記事が掲載されているからだ。
生前敏器からメールで、「とーあんしゃさ」は本にしなくちゃいけないのだという話を聞いていて、ただ、いろんなしがらみがあって本にできていないことを若干悔やんでいた風な文面だったのを、僕はずっと気にしていた。同じように、雑誌coyoteに「とーあんしゃさ」が連載されていた際に写真をとった関さん(Morgen Roteの遊び仲間で元敏器の同僚だった朋ちゃんの旦那さん)も、いつか本になるといいと思っていたという。
敏器逝去10年の去年、奇しくも小学館文芸誌の元辣腕編集長稲垣さんを風鯨社という一人出版社の鈴木さんと引き合わせたのがきっかけで『ボイジャーに伝えて』が出版されたことが引き金となって(風鯨社の鈴木さんがスイッチの新井さんに会った際に、僕が「「とーなんしゃさ」の出版はどうなりましたかと聞いておいてください」とお願いした。)、スイッチパブリッシング代表で元敏器の上司新井さんが重い腰をあげてくれたため、急に『とーあんしゃさ』出版の話が進みだしたのだった。
当時、雑誌10回分の連載では短いので、敏器は取材をし直して本にする予定だったようだが、それがかなわなくなってしまったため、今回新井さんが沖縄まで飛び、山本彩香に出版の許可を得るとともに、インタビューもおこなうとともに、垂見健吾という有名なカメラマンに依頼して山本さんの写真なども撮ってきたという。その経緯などが、今回のcoyoteに掲載されているのだ。
新井さんから一度お会いしましょうと連絡があったのは去年の夏。関さん、朋ちゃんの3人で青山のスイッチを訪問し、新井さんやスタッフの方とお会いして、本を作る打合せをした。もちろん、僕の立ち位置はボイジャー同様今回も「敏器のもと友人」というだけ。敏器が気にしていた「本にするには分量が足りない」という部分を補うための資料集め(既に集めていた沖縄関連の記事や敏器が僕に送ってきたメールの差しさわりのない一説などを新井さんに提供する)とともに、敏器の著作権継承者の従兄に出版の頭出しをしてスイッチに繋ぐということぐらいは、お手伝いをさせてもらった。
敏器のメールで気になっていたことが、これでようやく解消されると思うと、なんとも嬉しかった。それから秋、冬が過ぎ、春がめぐってくるこの時期に、ようやく出版というのが形として目の前に立ちあがっているのを見るのは、やはりありがたく、嬉しいことだった。
coyoteに掲載された「雨が懐かしい友を連れてくる」と題する記事は、『山本彩香 とー、あんしやさ 琉球料理の記憶と味の物語』の出版に絡んで、新井さんが自ら筆をとった記事だ。この本を出版するにあたって山本さんを訪問したこと、山本さんと敏器とのつながり、敏器が編集者を経てライター小説家になった簡単な履歴、そしてこの本への敏器の思いなどが、新井さんの目線で書かれていた。
物事というものは、やはり見る人の目線によって違って見えるものなのだな。この記事を読みながらそう思った。僕の目線は敏器のメールなどを通じて知らされた敏器目線をトレースしたものだから、ここに書かれていることとはまた違って物事が見えているのだけれど、それを今更ここに書いても無意味なので書くことは控えておく。しかし、こうしてこの連載が一冊の本になるということは、その内容が必ずしも敏器が望んだものとは違う形であるかもしれないことは横に置いておいても、とても嬉しいことだし、なんだか、ほっと肩の荷を下ろせるような気分になった。
ただ、「本に使えれば」と稲垣さんから預かっていた敏器の未完の小説の冒頭部分は、「本に使ってください」と言って新井さんにその原稿を渡した稲垣さんや僕の意向とは関係なくcoyoteに掲載され、それが事前に知らされなかったことには、若干の違和感があった。まあ、これはスイッチパブリッシングという会社を引っ張る新井さんというやり手の代表者の戦略だと理解することにした。
いろんな人の思惑を超え、2007年から1年間coyoteに連載された『とーあんしゃさ』は、2023年4月1日、山本彩香さんの88歳の誕生日に『山本彩香 とー、あんしやさ 琉球料理の記憶と味の物語』として発売される。
coyote
https://www.switch-store.net/SHOP/CO0079.html
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